王子の日記

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マップに日記が配置されており、読んでいくとページが進んでいきます。
既に読んであるページは、ヘムシン城の最初の部屋で再び読むことができます。
最後のページである「その25」を読むと、トロフィー「書物愛好症」を獲得できます。

その1

謀反だ!父王が刺客の手にかかり、傷を負ってしまった!
王国に秩序を取り戻すため、私と兄弟たちは父王を救うために冒険を命じられた。
共に呪われた森へと足を踏み入れ、ヘムシン城を目指すことになるだろう。
森のハズレに建つこの呪われた城砦は、はるか昔より存在し続けており、その内部にはあらゆる病を治癒せしめうる秘宝が眠っているらしい。
私は今夜のうちに出立し、兄弟たちが眠っている間に先陣を切るつもりだ。
この使命を果たせなければ、自らの名を汚すことになるだろう。

その2

私は長男ではあるが、父王には疎まれている。何も残してくれないであろうことは幼い頃から分かっていた。
だが私が治療法を持ち帰れば、すべてが変わるだろう。
この使命を成し遂げし者には、父亡き後の王座が約束される!
私が戴冠すれば、妻や子供たちも王宮に呼び戻すことができる。
王都へと帰還し、相応の敬意をもって迎えられることになるだろう。
そうなれば、従兄弟たちの噂話や下らぬ中傷に耐えしのぶ日々も終わる。
私のゆく先々で、あの公爵どもは深々と頭をたれるだろう!
いや、今そのようなことを考えるべきではない。
すべきことを見失ってはならない。城が我がものとし、治療法を手に入れ、相応の見返りを手に入れるのだ。

その3

代価を支払い、城に入った。よもやカロンとか申すあの悪魔めに、全財産を奪われることになろうとは。
私のヘソクリも例外ではない、これでは妻や子供たちに何も残せないではないか。
カロンいわく、城へと立ち入るすべての者が支払う代償であり、妥当な額なのだそうだ。
城に入った者で、生きて出てきた者は誰一人いないからこその価格だという。
だが私がその歴史を変えてみせよう。
勝利をこの手に!剣の腕で私に勝る者などいない。兄弟姉妹の間でもだ。

その4

この城は何もかもおかしい。進んだ道をどうしても覚えられず、太陽や星を頼りに方向を知ることもかなわない。
気がつくと来た道を引き返していることもしばしばで、堂々巡りにならぬよう地図を入念に描かざるを得なくなっている。
他の冒険者たちの亡骸から奪った地図は、どれも驚くほど不正確なものだ。
まるで別の城のものかと思うほどに。
この城には、人の精神を惑わす力があるのだろうか・・・
それとも壁や床の石たちがうごめいて、私の知らぬ間に城の形をうつろわせているのだろうか。

その5

正門からはもう出られないようだが、それでもかまわない。我が決意は固い。
引き返すなど言語道断だ!
これまでに見つけた地図は、いずれも私のものとは似ても似つかぬ内容だった。
しかし全体を見渡してみると、わずかながら共通点がある。
地図の右側には森が、上方には塔が描かれているのだ。
ならば下方には何があるのか?
知らずに済むのなら、それに越したことはないが・・・

その6

暗闇は昔から好きになれない。敵と対峙するなら、相手がよく見える平原が一番だ。
そんな私も、今や片手を前方に伸ばし、他方の手を剣の柄にかけて、この暗き迷宮を進んでいる。次の曲がり角にどんな恐怖が待ち構えているか想像だにできない。
私は地上随一の剣士であるが、それでもあの悪魔どもには手を焼かされている。
兄弟たちは私の独断専行に感謝すべきだ。思いがけぬ手向けになっただろう。
彼らには、ここで生き延びられるだけの力など到底ないからだ。

その7

いまだに夜が続いている。もうここに着てから丸一日は経つはずなのに、どの窓からも、さびしげな月が見つめ返してくる。
興奮のなせるわざか。わが身体には、これまでにないほどの力がみなぎり、同時に、かつてないほどの手応えをも感じている。敵を切り捨てながら部屋から部屋へと突き進むのは、爽快ですらある。
この城に潜む敵は、まるで私のために仕立てられたかのようだ。
私を鍛え、導き、監視しているように感じる。
これは突拍子もない考えかもしれないが、仮にこの城そのものが生きていて、内部に踏み入れた者の存在を認識しているとしたら・・・明確な悪意を持っているのではなかろうか。推測どおりなら、城の構造そのものがオトリで、私をワナへと誘っているのではないだろうか・・・
油断は禁物だ。

その8

城内で遭遇した数知れぬ冒険者の死体から、以下の結論に達した。
十分な糧食を持参した者はほとんどおらず、多くは餓死したのではなかろうか。
私自身も手持ちが少なくなっており、調達する必要を感じている。
衣服を奪われている者が多く、ゾンビがズボンをはいているのはそのためかもしれない。
どうやら私ほど奥まで進めた者はいなかったようだ。
既に一時間あまり、死体を見かけていない。

その9

王座へと通じる扉はいったいどうなっているのだ!?あの奥に父王を救い、私に栄光をもたらすものがあるはずだが、扉はこちらを挑発するかのように出迎えの間の中央にそびえ立ち、動く気配すらない。
押してみたり、蹴りつけてみたり、「開けゴマ」などと叫んでみたりもしたが、まるで効果がなかった。
扉にはいくつかの紋章が彫られており、そのうち一つは、以前に城の奥で目にした魔獣の姿に似ている。何らかの関係があるのだろうか。

その10

扉の紋章はやはり手がかりだった!紋章に似た姿の巨大な魔獣を倒したところ、王座の間に通じる扉の奥で何かが動くのを感じた。
そして夢でも見ているように、紋章の1つが輝いている光景が脳裏に映ったのだ。
まるで魂が自分の体から離れ、宙から見下ろしているかのような感覚だった。
進むべき道が見えたのはいいが、父王がいつ傷に屈してしまうかわかったものではない。
とはいえ、まずは休息をとらねば。明日は森へと足を踏み入れよう。

その11

この森は今までに見たものとは似つかない。穏やかだが、不気味だ。
豊な草地に立っている私のすぐ横には、深い地裂が延々と続いている。
飲み込まれそうな迫力だ。
先程投げ入れた石は、いまだに底に当たる音が聞こえてこない。
足を滑らせでもしたら、永遠に落ち続けるのではなかろうか。
そう考えると身震いを禁じえない。
永遠に続く闇・・・これまで戦ってきたどんな魔獣よりも恐ろしい。
もし落ちてしまったら、どのような最期を迎えるのだろう。
飢えか、それとも自害か・・・
余談だが、今はさきほど述べた地裂に用を足している。
もしや私は異次元に向けてウンコをしているのだろうか・・・

その12

食料の問題に解決策が見つかった。森の中には美味なキノコが無数に生えている。
そしてなんと、キノコを切り開いてみるとニワトリの脚が見つかることがあるのだ!金貨や、輝く水の入った小瓶が出てくることもある。
先程切り株を割ってみたところ、金貨の詰まった袋が出てきた。
時々、自分が正気を失っているのではないかと考えてしまう。
そもそもあの月からしておかしい。あまりにも大きすぎる・・・!

その13

森に巣食う魔獣を倒した。王座の間の力がさらに弱まったのを感じた。
今のところ、私の見立ては正しいようだ。城の各棟には、そこを守る魔獣が待ち構えている。
侵入者の意志を試すための意図的な仕掛けなのだろうか?
そうであれば失敗は許されない。奥へと進むほどに、勇気が湧いてくる!
明日は塔の制圧を試みるとしよう。負ける気がしない。

その14

次なる番人をさがして部屋という部屋の魔物どもを切り捨ててまわっているが、時の流れはもとより、分からなくなっていることがいくつもある。
塔に入ると、私は時間が止まったように感じた。それとも単なる目まいだろうか?
私は昔から高い所が苦手・・・だっただろうか?
自分の過去を思い出すのが、だんだん難しくなってきている・・・

その15

私が有名な冒険かだったことは思い出せる。武人としての腕も、兄弟の誰より優れていた。それは間違いない。彼らが本に埋もれて勉学に励む間も、私はそこらの野盗や魔物を斬り伏せていたのだ。 br; 父王がなぜ私を嫌い、彼らをひいきしたのかは分からない。
おとぎ話では、いつも逆だったはずだが・・・
運は、つまらぬ頭でっかちではなく勇者に味方するものだ。
そんなことわざがあった・・・と思う。
彼らは、剣を突きつけられても知恵だけで切り抜けられるのだろうか?
見てみたいものだ!

その16

もし、私が城に入ってから何年もの時が過ぎているのだとしたら?
魔物との戦い方はどんどん上達しているが、それだけに長い年月が過ぎているような感覚がある。
自分の家族がどんな顔をしていたかも忘れてしまった。
私は失敗したと思われているだろうか?
兄弟の誰かが先に治療法を手に入れたのではないだろうか?
そしてもし私が、彼らを魔物と見間違えて・・・いたら・・・?

その17

私もいよいよ正気を失い始めたらしい。城の中でカーニバルに出くわした。
さびしげなピエロまでいたのだ。
ピエロのあつはなかなか腹立たしい性格をしているが、こんな場所では話し相手に贅沢は言えない。
また腹が減ってきた。ニワトリの脚を集めておいてよかった。
シャンデリアを壊した時に見つけたものだ。
時々考える。この城が実は、大がかりな悪ふざけに過ぎないのではないかと。

その18

塔の魔獣を倒した。再び王座の間の力が弱まるのを感じた。
どうしても勝利に酔ってしまっている自分がいる。かつてないほどの自信と力がみなぎり、この状況を楽しんでいる自分がいるのだ。あと少しで報酬を手にすることができる!
もう一息だ!父上も私を見直してくれるだろう!

その19

地下牢へと通じる門の外で、認めたくないほど長い時間、立ち尽くしている。
私ともあろう者が、勇気を失いかけている。下層の魔物どもを垣間見たのだが、これまでの苦闘が冗談に思えるほど恐ろしい姿をしていた。
覚悟を決めて、集中しなければ。地価にはほとんど光がささず、油断すると迷子になりかねない・・・

その20

闇には慣れているつもりだったが、この地下牢の闇には声があるのだ。
声は格子や曲がり角の向こうから呼びかけ、挑発してくる・・・
声が濃く、手で触れられる気すらしてくるが、この辺りの魔物どもは好んで棲みついているようだ。通路内を素早く駈けずりまわり、これまで相手にしたどんな敵よりも恐ろしい存在だ。
慎重に期して、不用意な戦いは避けなければ。
ここで勇んでは、命を落としかねない。

その21

ついにやったぞ!地下牢の主を倒した!あとは玉座の間に入るだけだ。
これで父王も私の勇猛さをたたえ、正式なる王位継承者と認めてくださるだろう・・・
どれも同じような顔をした兄弟たちではなく、私を!

その22

ここに座して、最期の準備を整えつつある。あの金色の扉を抜ければ、この城の主とあいまみえることになるだろう。
体の奥にどうしても収まらない感覚がある。それが恐怖なのか、恐怖と興奮の混じったものなのかは分からない。
いずれにせよ、この冒険ももうすぐ終わるだろう。
ここに足を踏み入れた理由さえ忘れかけていたが、ようやく思い出した。
私は兄弟たちに勝ち、王を救い、来た時以上の勇者となって、この城を出ることになるだろう。ようやく我が家族にも、ふさわしい栄誉をもたらせるはずだ。
さあ、いざ、玉座の間に入らん。

その23

この城に隠された宝が何であるのか、私は知らなかった。
王の命を救うものだとしか聞いていなかった。
まさか、それが若返りの泉だったとは。
想像を絶する、強大な化け物が待ち受けているものだとばかり思っていた。
全力をふりしぼらなければ勝てないような強敵が・・・
城の最深部で、我が父が・・・王が・・・杯を片手に玉座の頂点に座している姿を見た時、私は絶望した。
王が死ぬことは決してないのだ・・・
・・・私がその後を継ぐことも。
どのような言葉をもってしても、この気持ちを言い表すことはできないだろう。

その24

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その25

今日という日は、永遠の始まりなのだ。
この城に隠された宝が何であるか、私は知らなかった。
王の命を救うものだとしか聞いてなかった。
まさかそれが若返りの泉だったとは。
永遠の命をもたらすという伝説そのものだとは。
王の死体を見下ろしながら、私はこの世の必然を痛感する。
親の罪は、すべからく子が背負うことになるのだ。
私は剣士として、救世主としてこの城に足を踏み入れた。
だが今、私に残されたのは盗人の系譜だけだ。
これを読んでいる、おまえの憤怒はもっともだ・・・
しかし、おまえの一族に破滅をもたらしたのは、決して私ではない。
王がこの城に足を踏み入れた時、王家の財産のすべてがカロンの手によって奪われていた。我が家族のみならず、すべての子供らの家族が、よりよき明日への希望を失ったのだ。
そして私には、絶望と貧困に蝕まれた国の行く末が見えた。
私が戻るべき場所など、もはやどこにもないのだ。
わが子たちよ、そしてその子孫たちよ。私は感じることも老いることもなく、ここに座して、そなたたちを待っている。


Last-modified: 2015-05-07 (木) 09:25:10 (834d)